DHA・EPAの違いと効能!食品やサプリから摂取する方法は?

2017年03月08日更新 ヘルスケア
DHA/EPA

多くの日本人が、生活習慣病に悩むようになっています。その原因の一つが食生活の変化です。脂質や糖質を多く摂取することで、血液がドロドロになってしまう人が少なくありません。血液をドロドロからサラサラにすることが今、求められています。

「健康になりたい!」と望む人の間で今話題になっているのがDHAとEPAです。「血液をサラサラにする」だけでなく、「ダイエットにも効果がある」や「頭が賢くなる」という評判を信じ、多くの人がDHAやEPAを摂取しようと血眼になっています。

確かに、DHAもEPAも健康に役立つ栄養素ではあるのですが、DHAやEPAの効果については間違った情報も流布しています。そこで、DHA・EPAの正しい効果は何なのか、どのようにして食品から摂取できるのか、不足する場合はどのようなサプリを活用すれば良いのか、などについてまとめました。

今回の記事を参考に、多くの方がDHAやEPAを最大限活用した健康生活を送られることを望んでいます。

DHA・EPAの科学的に証明されている効能

dha効能

DHA・EPAとは

DHAやEPAの効能について説明する前に、そもそもDHAとは何なのか、EPAとは何なのか、両者の違いはどこにあるのかについて簡単におさらいをしておきましょう。

DHAとは

私たちの体に必要な栄養素の一つに「脂質」があります。私たちが摂取する脂質の多くは「トリアシルグリセロール」といいます。トリアシルグリセロールは、グリセリン(グリセロール)はアルコールの一種で、3つ(トリコ)の脂肪酸と結合した状態で油脂と呼ばれます。

脂肪酸には主に動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸(牛脂、ラード、バター、チーズ、卵黄など)と、不飽和脂肪酸に分けられます。飽和脂肪酸は常温で固まりやすく、不飽和脂肪酸は常温で固まりにくいという違いがあります。

不飽和脂肪酸のうち一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)が結合している油脂を含むものの代表格がオリーブオイルです。不飽和脂肪酸のうち「ω-3系」に分類される脂肪酸の一つがDHA(DocosaHexaenoic Acid=ドコサヘキサエン酸)です。

DHAが必須脂肪酸と呼ばれるのは、人間の体に必要であるにもかかわらず、体内で合成できないため、体外からの摂取が必要であるためです。例えば人間の脳の4〜5%(除く水分)はDHAで構成され、特に記憶や学習機能を左右する海馬は8〜10%(除く水分)がDHAと言われます。

EPAとは

不飽和脂肪酸のうち「ω-3系」に分類される脂肪酸の一つがEPA(EicosaPentaenoic Acid=エイコサペンタエン酸)です。EPAは脳を構成する脂肪酸ではありませんが、心筋梗塞など循環器系疾患を引き起こさない健康な血液を保つ上で、重要な役割を果たす脂肪酸であると言われています。

1970年代に行われた調査により、イヌイットの脂肪摂取率はかなり高く、デンマーク人と同様のエネルギー比であったにもかかわらず、デンマーク人はその40%が心筋梗塞によって死亡しているのに対し、イヌイットは心筋梗塞などの循環器系疾患を患う人が3%程度しかいなかったことが明らかになりました。

イヌイットは主食としているアザラシや鯨などを食べています。アザラシなどの主食はEPAを多く含む青魚などです。青魚のEPAがアザラシや鯨、そして人間へとバトンタッチされ、イヌイットの血液には多くのEPAが取り込まれているのです。それが、循環器系の疾患が抑制しているのではないかと考えられたのです。

DHAとEPAの違い

DHAとEPAはどちらもω-3系の脂肪酸という栄養素で、その働きも効果もよく似ています。人間の体内で合成されない必須脂肪酸である点も共通しています。そんなDHAとEPAの違いは以下の2点です。

第一は、EPAは男性の血小板凝集を抑制する一方で、DHAは女性の血小板凝集を抑制しやすいという違いです。したがって、男性の方がより積極的にEPAを摂取すべきであると考えられます。

第二は、DHAは脳の構成要素であるのに対して、EPAは脳内に存在しないことが挙げられます。仮説として、血中のEPAは脳内を巡る中でDHAなどに変換されるため、脳内に存在しない可能性が指摘されています。

中性脂肪・コレステロールを減らす

コレステロール減らす

DHAやEPAに関して科学的に効果があることが証明されている効果・効能は二つあります。第一に「中性脂肪・コレステロールを減らす」こと、第二に「血小板凝集を抑制する」ことです。

中性脂肪を減らすことについては、既に複数の信頼性の高い研究でDHA・EPAの効果が証明されています。また、特定保健用食品の認可の際に、国の検査機関による審査でもその効果が明らかになっています。

例えばある研究では18歳から37歳の健康な324名を対象に比較試験を実施しました。一方の実験群に対してはDHAを16週間摂取させ、もう一方の実験群にはオリーブオイルを16週間摂取させ、その後血液検査を実施しました。

その結果、DHAを摂取した実験群のほうが、血中の中性脂肪やコレステロールの濃度が有意に低下することが認められました。DHAを摂取したグループは何も摂取していないグループに比べ、平均28%の中性脂肪が減少したという報告がされています。

同様の実験をEPAについても行ったところ、EPAについても中性脂肪を減らすという効果が認められました。

その他にも同じような実験が繰り返し行われましたが、どの実験についても「DHAのEPAが中性脂肪を減らす」という結果を指示するものでした。それでは、血中の中性脂肪が減ると、私たちの生活にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

中性脂肪が減ることのメリット

中性脂肪とは人間の体を動かすエネルギー源となる物質です。食物から取得された脂質は小腸から吸収されて血液中に入ります。体のエネルギー源なので中性脂肪が絶対的に悪者というわけではありません。しかし、過剰に脂質を摂取した場合に問題が発生します。

血中の中性脂肪値が高すぎると「脂質異常症」と呼ばれます。脂質異常症になると、悪玉コレステロール(LLD)が増加します。増えすぎたLLDは血管の壁に吸収され、血管の壁が分厚くなります。血管の柔軟性が失われ、動脈硬化を起こすとともに、高血圧を引き起こします。

高血圧の状態が続くと、血管内皮細胞が傷つきやすくなります。血管内皮細胞が傷つくと、血の塊である「血栓」ができやすくなります。血栓が心臓の血管に詰まると「心筋梗塞」、脳の血管に詰まると「脳梗塞」を引き起こします。

DHAやEPAを適切に摂取することによって、中性脂肪が減らせます。中性脂肪が減ることで、動脈硬化や高血圧、さらには心筋梗塞・脳梗塞といった生活習慣病になるリスクが低くなります。これがDHAやEPAによって期待される健康上の効果です。

万能ではないことに注意が必要

過剰な中性脂肪は確かに高血圧の一因です。しかし、中性脂肪を減らせば必ず高血圧から逃れられるというわけではないことに注意が必要です。なぜなら、高血圧を引き起こす原因は中性脂肪の他にもあるからです。

高血圧を引き起こすその他の理由には、「食塩のとりすぎ」「加齢による血管の老化」「ストレス」「過労」「運動不足」などがあります。また、積極的にDHAやEPAをとっているからといって、過剰に脂肪分の多い食べ物を食べたり、お酒を飲みすぎていては高血圧から逃れられません。

DHAやEPAを摂取すると同時に、摂取する食事の中身を見直したり、飲酒や喫煙などの生活習慣を改めたり、十分な睡眠時間や適度な運動によるストレス発散をするなどの努力が、生活習慣病から逃れる上で大切だと考えられます。

血小板凝集をおさえる

決勝板疑集

DHAやEPAに関して科学的に証明されている効果・効能の第二は「血小板凝集を抑制する」ことです。血小板凝集を抑制することについては、既に複数の信頼性の高い研究でDHA・EPAの効果が証明されています。

例えば、健康な成人94名を対象とした試験において、DHAやEPAを4週間摂取させました。その結果、EPAについては「-11.8%」の血小板凝集がみられ、DHAについては「-14.8%」の血小板凝集がみられ、有意に血小板凝集の抑制効果を示しました。

また、性別で検討した場合、男性では「EPAを多目に摂取した群」が、女性では「DHAを多目に摂取対群」において、血小板凝集能の低下が認められた。男性は女性に比べEPAを投与した効果が大きくあらわれる(血小板凝集の低下が大きい)一方で、女性は男性に比べDHAを投与した効果が大きくあらわれる(血小板凝集の低下が大きい)ことが明らかになりました。

すなわち、男性はEPAの方が、女性はDHAの方が血小板凝集を抑制する効果が大きいということです。

血小板凝集をおさえると何にいい?

それでは「血小板凝集を抑制する」とどんな健康効果があるでしょうか。そもそも血小板とは血液に含まれる細胞の一種で、赤血球、白血球に並ぶ主要な構成要素のひとつです。骨髄の細胞質から生み出され、核を持たない細胞です。赤血球や白血球の細胞よりも小さく、何種類かの血液凝固因子を含んでいることが最大の特徴です。

血小板の血液凝固機能がその役割を発揮するのが出血時です。出血するということは、血管の内皮細胞が傷害を受けた状態です。出血を止めるためには、内皮細胞が修復する必要がありますが、すぐには修復できません。血小板はタンパク質や細胞の接着因子などの協力を得て、血管の内皮細胞に接着します。それと同時に血小板が凝集・凝固し、血栓を形成し、出血を止めます。

血小板が凝集し血栓を形成することは出血を止める上では極めて大切です。しかし、高血圧の場合、出血をしなくても、血液の圧力によって血管の内皮が傷つきます。血小板は凝集しやすい場合、内皮が傷つくことによって大きな血栓を作り出してしまいます。この血栓が脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす一因となりうるのです。

DHAやEPAを摂取することによって血小板凝集を抑制すれば、血栓ができにくく、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを抑制するという効果が期待できます。

過剰摂取に要注意

しかし、血小板凝集の機能抑制という観点から考えると、DHAやEPAを過剰に摂取することは問題です。なぜなら、血小板凝集を抑制しすぎると、出血した際に血が固まりにくく、傷が治りにくくなってしまうからです。

目に見える部分が出血し、出血が止まらないなら異常を察知できます。しかし、体の内部で出血が起きている場合、血小板凝集機能の低下は問題です。出血が続くと貧血になり、内臓系が出血した場合は死に至ることもあります。そのため、過剰に摂取することなく、正しいDHAやEPAの摂取法を正しく守り生活に取り入れるようにしましょう。

DHA・EPAの効果的な摂取の仕方

効果的摂取方

DHAやEPAは血中の中性脂肪やコレステロールを減らし、血小板凝固を抑制することで、生活習慣病の一因を取り除くことが期待されます。しかし、DHAやEPAは体内で合成できません。したがって、体外からDHAやEPAを摂取することが大切です。

DHAやEPAを体内に取り入れる方法は二つあります。一つは食事を通じて、もう一つはサプリを通じて取り入れる方法です。サプリを購入して摂取するのも便利ですが、日常の食事から摂取できれば、必要なエネルギーを取り入れると同時にDHAやEPAを摂取できるので一石二鳥ですよね。

それでは何を、どれくらい食べれば必要なDHAやEPAを摂取できるのでしょうか。

DHA・EPAの必要な摂取量

すでに述べたように、DHAやEPAは体内で合成できない必須脂肪酸である一方で、過剰摂取は必要以上に血小板の凝固機能を低下させ、望ましくありません。したがって適切な摂取量を守ることが大事です。それではDHAやEPAの適切な摂取量はどの程度でしょうか。

厚生労働省は、国民の健康維持を目的とした基準の中で、DHA・EPAの合計目標摂取量を1日1gと推奨しています。欧州では1日5g、米国は1日3gまでは摂取しても良いとされています。国によって基準が異なりますが、1日3gをこえて取り入れると、はき気や下痢、鼻血などの症状が現れると言われていますので注意が必要です。

1日のDHA・EPAの摂取すべき量(DHAとEPAの合計g)

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2015」に年齢別の必要摂取量が記されていますので以下引用します。

年齢/男性/女性
0歳/0.8-0.9/0.8-0.9
1-2歳/0.7/0.8
3-5歳/1.3/1.1
6-7歳/1.4/1.3
8-9歳/1.7/1.4
10-11歳/1.7/1.5
12-14歳/2.1/1.8
15-17歳/2.3/1.7
18-29歳/2.0/1.6
30-49歳/2.1/1.6
50-69歳/2.4/2.0
70歳以上/2.2/1.9
妊婦//1.8
授乳婦//1.8

DHAを豊富に含む食品

過剰摂取に留意しつつも、必須脂肪酸であるDHAを効率的に摂取するためにはどのような食品を摂取すれば良いのでしょうか。DHAは肉や野菜類にほほとんど含まれておらず、魚介類からしか摂取できないので注意が必要です。しかも、どの魚を食べてもDHAを摂取できるというわけではありません。

DHAは、魚介類の中でも「いわし」「サバ」「さんま」「アジ」「クロマグロ」などの青魚に豊富に含まれています。特に脂ののった魚に多く含まれているので、旬のものを食べることが大切です。また、食べる部位によってはDHAが多く含まれる部位と、含まれない部位がありますので注意が必要です(マグロの場合、赤身には少なく、トロに多く含まれています)。

生食の場合

可食部100g当たりのDHAの含有量は以下の通りです。

  • くじら(本皮):3,400mg
  • クロマグロ(脂身):3,200mg
  • ブリ:1,700mg
  • さんま:1,700mg
  • ハマチ(養殖):1,700mg
  • マイワシ:1,300mg
  • カツオ(秋獲り):970mg
  • 真鯛(養殖):890mg
  • マアジ:440mg
  • するめいか:200mg

調理食の場合

可食部100g当たりのDHAの含有量は以下の通りです。

  • さんま(焼き):1,400mg
  • マアジ(開き干し・焼き):1,300mg
  • ウナギ(蒲焼き):1,300mg
  • マイワシ(缶詰・油漬け):810mg
  • シロサケ(焼き):510mg
  • いかなご(佃煮):500mg

DHAを効果的にとるために

上記の魚を食べればDHAは摂取できますが、効果的に体内にとり入れるために留意してほしい点があります。

第一に、生で食べられる魚は極力生で食べて欲しいということです。DHAは調理方法によっては失われてしまいます。焼く、煮る、揚げるプロセスにおいて、魚に含まれる脂質が落ちてしまいます。生食できないものは無理する必要はありませんが、可能であれば刺身などで生のまま食べることが効率的です。

第二に、溶け出した油は残さないということです。魚を煮込んだ場合、魚のDHAが煮汁の中に溶け出します。魚を蒸した場合、上記と一緒に魚の脂が溶け出します。魚を焼いた場合は、グリルなどに魚の脂が落ちてしまいます。それらの脂は残さず摂取して下さい。煮汁は最後まで飲み、蒸した際に出来た汁や、グリルの脂はソースなどの形で活用し、全て体内に取り込むようにしましょう。

EPAを豊富に含む食品

epa食品

EPAも肉や野菜類にほとんど含まれておらず、魚介類からしか摂取できません。EPAを多く含むとされているのが、青魚や脂がのった魚です。特にEPAが多く含有されている食品を以下でご紹介しますので、献立選びの際の参考になさってください。

生食の場合

可食部100g当たりのEPAの含有量は以下の通りです。

  • くじら(本皮):4,300mg
  • クロマグロ(脂身):1,400mg
  • マイワシ:1,200mg
  • ハマチ(養殖):980mg
  • ブリ:940mg
  • さんま:890mg
  • 真鯛(養殖):600mg
  • カツオ(秋獲り):400mg
  • マアジ:230mg

調理食の場合

可食部100g当たりのEPAの含有量は以下の通りです。

  • マイワシ(缶詰・油漬け):850mg
  • ウナギ(蒲焼き):750mg
  • さんま(焼き):650mg
  • マアジ(開き干し・焼き):560mg
  • いかなご(佃煮):450mg
  • シロサケ(焼き):260mg

EPAを効果的にとるために

上記の魚を食べればEPAは摂取できますが、効果的に体内にとり入れるために留意してほしい点があります。それはDHAを取り入れる際の注意事項と同じです。第一に、生で食べられる場合は生で食べること。第二に、溶け出した脂はまるごと摂取することです。

魚は傷むスピードが早いため、忙しい生活を送っている人にとってなかなか食べにくい食材です。そのため、DHAやEPAは必須であるにもかかわらず、不足しがちな栄養素であると言われています。忙しい人がDHAやEPAを効果的に摂取するにあたってオススメできるのが缶詰の利用です。

缶詰にはDHAやEPAもまるごとパッケージされています。缶詰においても、EPAやDHAが脂に溶け出している場合があります。脂を捨てないでまるごと調理に活用するようにしましょう。

DHAやEPAにまつわる迷信

dha迷信

DHAやEPAについては「中性脂肪を抑制する効果がある」「血小板凝集を抑制する効果がある」ことに加え、さまざまな「効果」があることが大きく宣伝されています。特に「頭が良くなる」「ダイエットに良い」「アトピー症の抑制に効果がある」「うつ症の抑制に効果がある」という「効果」は科学的に実証されておらず、逆にこれらの「効果」がないことを実証した論文は存在しています。まさに「迷信」といっても良いほどです。

DHAやEPAには確かな効果がありますので、それらの効果を信じて必要量を摂取することは大切です。しかし、迷信を利用してDHAやEPAをセールスしようとする通販サイトがあるのも事実です。くれぐれも誇大広告に左右されることなく、DHAやEPAを利用するようにしましょう。

迷信(1)頭が良くなる!

DHAやEPAにまつわる代表的な迷信の一つが「DHA・EPAを摂取すれば頭が良くなる」というものです。そもそも「頭が良くなる」という表現自体が曖昧で、どのような意味にも取れる表現です。仮に、DHA・EPAを摂取すれば「記憶力が良くなる」と表現したところで、効果が実証されていないことに変わりはありません。

逆に、DHAを摂取したところで、認知機能への影響がないことを実証した研究があります。ある研究では、健康な小児(10歳〜12歳)88名を対象に実験を実施しました。小児たちにDHAを1日400mgまたは1日1,000 mgを8週間摂取させ、認知機能に与える影響を検証しました。検証の結果、DHAの摂取が認知機能に与える影響は認められませんでした。

また、ある研究では、小児(7歳~9歳)362名を対象にDHAを1日600mg、16週間にわたって摂取させ、体に与える影響を検証しました。検証の結果、全体としてDHAの摂取が言語能力、作業記憶、行動評価のいずれにも影響を与えていることは認められませんでした。

確かに人間の脳の4〜5%(除く水分)、特に海馬の8〜10%(除く水分)がDHAでできていることは紛れもない事実です。しかし、これらの研究結果は、DHAが脳に含まれていることと、DHAを摂取すれば脳の機能が向上することとは同義ではないことを示しています。

迷信(2)うつ症の抑制に効果がある!

うつ病効果

「魚の消費量が多い国ほどうつ病になる人が少ない」とか「魚の消費量が多い国は自殺率が低い」とか「うつ病の程度が軽いほどEPAの値が相対的に高い」などと言われています。しかし、魚の消費が精神状態やホルモンバランスを決定するという実証研究はありませんし、うつ病とEPAの関係についても相対的なものであって、十分に実証されたとは言い難い研究です。

また、DHA・EPAを摂取することで脳内のセロトニンの働きを高めることで、うつ病や自殺の抑制に影響しているのではないか、とも言われていますが、憶測・仮説の域を出ません。あくまでもDHA・EPAの効果で実証されているものは「中性脂肪の抑制」「血小板凝集の抑制」だけです。

ある研究においては、高齢者302名を対象にDHAとEPAを26週間にわたって投与しました。一つのグループには一日合計400mg、もう一つのグループには1日1,800 mgを与え、不安・抑うつ尺度への影響を調査しました。その結果、CES-D(うつ病の自己評価尺度の一つ)、MADRAS(包括的精神病理学評価尺度からうつ評価に関する10項目を抽出し、作成した尺度)、GDS-15(老年期うつ病評価尺度)、HADS-A(身体的疾患を有する患者の抑うつと不安に関する精神的状況を計測する尺度)のいずれについても有意な影響は確認できませんでした。

また、妊婦に与えるDHA・EPAの精神的影響に与える実験が行われました。妊婦126名に1日にEPA 1,060 mg と DHA 274 mg を投与するか、もしくは1日にDHA 900 mg と EPA 180 mgを妊娠初期から出産後6~8週間まで摂取させ、不安・抑うつ尺度への影響を調査しました。その結果、BDI(ベックうつ病調査票)についても、MDD(大うつ病性障害) についても、DHA・EPAの影響は認められませんでした。

脳内のセロトニンの働きを高めるためには、リズミカルな運動、例えば歩行や、食事の際のそしゃく、意識的な呼吸などが有効であると言われています。これらのリズム運動はセロトニン神経を刺激して覚醒状態を高めます。また、人との触れ合いもセロトニンを増やすのには効果的です。

セロトニンの材料はトリプトファンという必須アミノ酸です。トリプトファンは体重1kg当たり2mgの摂取が必要であると言われています。トリプトファンは肉や魚に多く含まれています。魚を摂取すれば、トリプトファンとDHA・EPAを同時に摂取できることは考えられますが、DHA・EPAを摂取すればトリプトファンが増えるわけではありません。トリプトファンは穀類・豆類などにも含有されていますので、バランスの良い食事を取ることが大切です。

迷信(3)アトピーに効果がある!

アトピー性皮膚炎は改善と悪化を繰り返す皮膚炎で、かゆみのある湿疹、ぜん息などに苦しみます。体質的に何らかのアレルゲンに過剰反応し、かゆみの原因となる物質(IgE抗体)をつくりやすいため、それら諸症状があらわれると考えられています。DHAとEPAがアトピー性皮膚炎に対する効果については、「効果がある」とする研究と「効果がない」とする研究が対立しています。

ある研究ではアトピー性皮膚炎の患者26人に対し、1日400~900mgのDHAを14週間投与し続けました。実験の結果、DHAの投与によって「かゆみ」「しっしん」「あかみ」などアトピーの症状の全てが緩和されたことが明らかになりました。これはDHAがアトピー性皮膚炎でそれら症状をもたらす物質の発生を抑制するのに効果を発揮したものと推測されています。

一方、別の研究では遺伝的にアトピーになりやすい乳児420名を対象とした実験を行いました。1日につきDHA 280 mg、EPA 110 mgを含むサプリメントを生まれてから6カ月目まで摂取させ続けました。6カ月経過時点でみても、12カ月経過時点でみても、ぜん息、食物アレルギー、皮膚炎、アレルギー感作といったアトピー二関連するものの発症率に有意な差は認められませんでした。

迷信(4)ダイエットに効果がある!

ダイエット効果

日本人の男性の27.8%、日本人の女性の20.5%が「肥満者」であると言われている現代、ダイエットは多くの日本人の最大の関心事の一つです。ダイエットに効果的な運動、グッズ、食事、サプリメントなどが数多く開発されています。実は、DHA・EPAもダイエットに効果があるのではないか、と言われています。DHA・EPAのダイエットに与える効果についても賛否が対立している状態です。

まずはDHAがダイエットに効果があることを支持する実験からご紹介します。この実験はマウスを使って行われました。9カ月齢のマウスを2つの群に分け、一方にはDHAを、もう一方にはサフラワー油(ベニバナの種子からとれる油脂)を4カ月間与えました。その結果、オスかメスかを問わず、DHAを摂取させたマウスの方が明らかに体重が少なくなりました。

次に、DHAはダイエットに効果があることを否定する実験をご紹介します。この実験は、低エネルギー食の指導を受けている肥満の成人63名を対象に行われました。一つの群には「低カロリー食の指導と偽薬」を与え、一つの群には「低カロリー食の指導と偽薬を与え、脂肪の多い魚」を与え、もう一つの群には「低カロリー食の指導と脂肪の多い魚の摂取、さらにEPA 420 mg/日+DHA 210 mg/日」を与えました。

12カ月間摂取させた結果、低カロリー食の指導のみのグループでは体重が4.5kg減少し、指導に加え魚を摂取したグループは4.3kg減少し、指導に加え魚とサプリを摂取したグループは3.3kg体重が減りました。魚を摂取した場合も、DHAやEPAのサプリメントを摂取した場合でも体重が減少しましたが、DHAの効果によって余計に体重が減少するわけではないことが明らかになりました。

DHA・EPAを含むおすすめサプリ

おすすめサプリ

DHAやEPAは毎日合計1g〜3gの摂取が必要とされる脂肪酸です。魚類の油に豊富に含まれるため、刺し身や煮魚、焼き魚などを食べることによって、DHAやEPAは必要量をとれます。しかし、毎日魚料理をつくるのも大変ですし、肉などに比べ痛みやすく、保存がしにくいのも魚の弱点です。そのためDHAやEPAは不足しがちな栄養素であるとも言えます。

魚から摂取することが望ましいDHAやEPAですが、補助的な手段としてサプリメントを活用することは有効です。DHAやEPAを配合したサプリメントは星の数ほどありますが、以下では定評のある、代表的なサプリメントをご紹介したいと思います。

イマークS(ニッスイ)

イマークS

ニッスイの「イマークS」は1本100mlにEPAが600mg、DHAが260mg配合されています。1日1本飲むだけで、1日に必要なDHA・EPA量(1g)のほとんどが摂取できてしまいます。イマークSは血中中性脂肪を低下させる効能がある飲料として、消費者庁より特定保健用食品の認可を受けました。

日本臨床栄養学会雑誌(2011年)にも掲載されたように、1日1本、12週間の継続引用によって、血中の中性脂肪酸値が約20%低下するという結果が出ました。サラリとした飲みやすいヨーグルト風味の飲料ですので、無理なく継続的にDHAやEPA不足を補えます。

ただし、これ1本で1日に必要なDHAやEPAが摂取できてしまいますので、イマークSを飲用している時は魚料理を控えることが必要です。くれぐれもDHAやEPAが持続的に過剰摂取になることだけは避けましょう。
http://www.nissui-kenko.com/products/products162.html

DHA/EPA(DHC)

dhadhc

サプリメント業界のトップをひた走るのがDHCです。当然のことながらDHCのサプリメントのラインナップの中にDHAもEPAも含まれています。DHCのDHAはDHA・EPA成分市場で売り上げNo.1(金額・個数シェア)を記録しています。

DHCのDHAは目安量(1日4粒)当たり、DHA510mg、EPA110mg、合計620mgを摂取できます。不足するDHA・EPAは400mg弱ですので、少量の魚を食べれば十分に補える水準です。一方、DHCのEPAは目安量(1日3粒)当たり、EPA350mg,DHA80mg、合計430mgを摂取することが可能です。
https://www.dhc.co.jp/goods/cagoods.jsp?cCode=10262007

ナットウキナーゼ&DHA&EPAセット(小林製薬)

ナットウキナーゼ

小林製薬が栄養補助食品としてリリースしているのが「ナットウキナーゼ&DHA&EPAセット」です。この商品は血液をサラサラにすることを目標に、サラサラにするのに有効な成分をふんだんに盛り込みました。

1日の目安量(1粒)当たり摂取できるのは、DHAが60mg、EPAが11mgとDHCのサプリメントに比べて少量ですが、その他のサラサラ成分がふんだんに盛り込まれています。まずはナットウキナーゼです。日本ナットウキナーゼ協会が推奨する摂取量(2000FU)を1粒に盛り込みました。その他にも玉ねぎに含まれる有効成分ケセルチンなどが配合されており、血液をさらさらにする効果が期待できます。
http://lp.kobayashi.co.jp/md/natt/2/1_s.html?xadid=769_30

美健知箋(佐藤製薬)

美健知箋

ユンケルで有名な佐藤製薬のグループがリリースした商品が「美健知箋」(びけんちせん)です。美健知箋は1日の目安量(1包)当たり、DHAが550mg、EPAが200mg、合計750mgのDHA・EPAを摂取することができます。

美健知箋の優れている点は、DHA・EPAの酸化防止に力を入れている点にあります。酸化を防止するために、DHA・EPAをビタミンEでできたカプセルに閉じ込めました。直径3mmのつなぎ目のないカプセルは、服用後の溶解を容易にし、DHA・EPAの吸収を促進します。
http://www.bh-sato.co.jp/bhsato/campaign/epa_dha/

きなり(さくらの森)

きなり

さくらの森が高スペックDHA・EPAサプリメントとしてリリースした商品が「きなり」です。「きなり」は2015年、2016年と2年連続でモンド・セレクションの最高金賞を受賞しています。1日の目安量(4粒)で500mgのDHA・EPAを摂取できます。「きなり」も美健知箋同様、DHA・EPAの酸化防止に努めています。

美健知箋はビタミンEでそれを実現しましたが、南極に生息するオキアミからつくられるというクリルオイルの有効成分「アスタキサンチン」で、DHA・EPAの酸化防止を実現しました。その酸化防止力は、ビタミンEの1000倍に達すると言われています。

さらに、DHA・EPAサプリの弱点である「溶けにくい」という性質も、「きなり」では問題とされません。クリルオイルは水溶性で、DHA・EPAの溶解と吸収をサポートします。
http://sakura-forest.com/kinari/kinari10.html

三黒の美酢(花菜)

三黒の美酢

花菜がリリースするサプリメントは「三黒の美酢」(さんごくのみず)です。その名前が示す通り、この商品はこだわり抜いた「三つの黒」素材でつくられた商品です。宮城県産の黒酢もろみ、鹿児島県産の完熟黒にんいく、同じく鹿児島県産の有精卵黄油で、自ら「究極」と名乗るほどの「黒酢にんにく」ができ上がりました。

完熟発酵させた黒酢にんにくは生にんにくやごぼうを上回るポリフェノールを含有しています。さらに、この商品にはDHAやEPAも配合されています。今まで別々のサプリメントで摂取していた成分が、この商品一つで摂取できるのはうれしいポイントです。
http://www.hanna-saku.jp/lp/af2.html

参考記事[DHAとEPAとはどんな成分?脳や血液に与える効果とは?]

AOZA(Dr.Smile)

aoza

Dr.SmileがリリースするAOZAはω3系脂肪酸(DHAやEPA)とコエンザイムQ10などの栄養成分を絶妙なバランスで含んでいる栄養食品です。AOZAに含まれるDHAやEPAは青魚であるカタクチイワシからとれたもので、成分調整はいっさい行われていません。自然そのまま、飲みやすいサプリメントの形にしました。

カタクチイワシは国産(鳥取県境港)の管理されたもののみを使用し、DHAやEPAが散逸しないように高温加熱しない製法でオイルが取り出されました。1日の目安量(10粒)当たり摂取できるDHAは328mg、EPAは281mg、合計約600mgを摂取することが可能です。
http://www.dr-smile.jp/

DHA・EPAの効果を知り、適量の摂取を!

適量摂取

DHAやEPAについては中性脂肪を抑制し、血小板凝集を抑制するという意味で、適量の摂取は健康にプラスの効果がありました。しかし、「頭が良くなる」「ダイエットに良い」については科学的なエビデンスに乏しく、「アトピー症の抑制に効果がある」「うつ症の抑制に効果がある」という点についても疑問符がつきました。

科学的に効果が示されていないものあるいは効果に疑問符がつくものに関しては、DHAやEPAではなく、他の手法で解決策を実践することが大切でしょう。一方、血中の中性脂肪濃度を低下させたい、血液をサラサラにしたいという人にとってDHA・EPAは有効ですので、過剰摂取に配慮しながら食品やサプリを通じて適量を摂取すると良いでしょう。

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