食べ過ぎや飲みすぎなどでおこる胸やけ。
結構治るまでに時間がかかり、しんどいですよね。
また、食べ過ぎたり飲みすぎたりしていないのに、朝おきると胸焼けがあったりもします。
そんなとき、その原因や解消法を知っていれば、胸焼けの予防や対処ができるようになります。
ここでは、そんな胸焼けの原因とその解消方法をご紹介します。
胸焼けの意味や症状と胃もたれとの違い
胸焼けとは
胸焼けは英語で、「heartburn」といいます。
「heart」が心臓や胸、「burn」が焼ける、燃えるという意味なので、結構そのままですよね。
「胸焼け」とは胸が焼ける、燃えるような感覚や、胸がギュッと締めつけられるような痛みなどの症状のことをいいます。
胃から何かが戻ってくるような違和感を覚えることもあります。
この不快な症状は実は食道で起きています。
何らかの理由で出過ぎた胃酸が、お腹などを圧迫されたことにより、食道へ逆流したときに起こるものです。
食道と胃をつないでいる筋肉がゆるんでしまい、逆流するんですね。
逆流性食道炎(胃食道逆流症)の症状としても知られています。
多くの場合は、食べ過ぎや飲みすぎが原因といわれていますが、それだけではなく、胃に刺激を与えたり、消化しにくい食べ物や飲みものを摂取したりするのも、原因といわれています。
また、年をとったり、肥満や妊娠などで腹圧が上昇したりしたときにも起こりやすい症状です。
胸焼けで怖いのは、ストレスです。
知らず知らずのうちにストレスがかかり、胃酸過多が起こります。その胃酸過多によっても胸焼けを感じることがあります。
ただの胸やけと思って放置していると、心臓病や睡眠障害などの病気になる場合もあるので、少しでも気になったら医師に相談しましょう。
胸焼けの応急処置は、むかむかして苦しいですが常温の水や牛乳を飲んで、食道を洗い流すようにします。
胃もたれとは
胃もたれは英語で、「heavy on the stmach」といいます。
「heavy」が重い、「stmach」が胃の意味なので、直訳すると胃が重い。
こちらも結構そのままですよね。
胃もたれとは、胃が重たく感じたり、むかつきや鈍痛のような胃に不快感をだす症状のことです。
胸焼けが胃酸過多なのに対し、胃もたれは胃酸の出る量が少なくなったり、胃の機能低下などで食べたものの消化が進まず、ずっと胃の中に残ってしまったりして起こります。
主な原因として一般的なものは、やはり飲みすぎや食べ過ぎ、刺激の強い食べ物や飲み物のとり過ぎです。
またストレスやピロリ菌の感染なども原因の1つです。
こういったことで胃が疲弊し、胃酸が出にくくなります。
胃酸の不足やピロリ菌の感染は下痢の原因にもなります。
下痢が起こっている場合は、胃酸の不足やピロリ菌の感染も疑い、医療機関の診察を受けるようにしましょう。
胃もたれの改善方法は、疲弊している胃を休ませて、胃の粘膜を少しずつ再生していく方法が一番です。
食べる量を減らすため、しばらく食事は消化しやすいうどんやおかゆにします。
胃に負担をかけないことを心がけましょう。
また、ぬる目のお風呂で半身浴することも、胃もたれの改善につながります。
これは半身浴が、胃の粘膜の再生につながる「副交感神経」の働きをよくするためといわれています。
胸焼けの原因
ここからは、胸焼けの原因を解説します。
上述したとおり、胸焼けの症状は、胃もたれとは違い胃酸の出過ぎが原因で、食道と胃を結ぶ筋肉が弱くなり食べたものが逆流してしまうものです。
胸が焼ける、燃えるような感覚や、胸がギュッと締めつけられるような痛みなどの症状のことをいいます。
胃から何かが戻ってくるような違和感があります。
それに伴ってのどの痛み、空咳などを引き起こすこともあります。
この場合、胃薬の服用はやめましょう。
胃薬の服用は胸焼けには逆効果です。
胃薬は胃もたれのときなど、胃酸の分泌が少ない時に服用します。
胸焼けは逆に胃酸が出すぎているので、胃薬を服用してしまうと逆効果なのです。
胸焼けの対処方法を知るには、その原因を知ることが1番の近道です。
では、原因を見ていきましょう。
暴飲暴食
胸焼けの原因は胃酸過多ですが、その大元の多くは暴飲暴食からきていることが多いです。
脂っぽいものなどを食べ過ぎると胸焼けの原因になることがあります。
また、食事が終わってから胸焼けがおこるまでの時間でもその原因がわかることもあります。
食後2-3時間後におこる胸焼けは、胃そのものが弱っている場合が多いです。
食後3-4時間後におこる胸焼けは、胃そのものが弱っている場合もありますが、主にストレスが原因と考えられています。
胃に刺激を与える食べものや飲み物
胃に刺激を与え続けると胸焼けの原因になります。
こってりした食べ物や、大量のチョコレートなども刺激を与える食べ物です。
また、アルコールの取りすぎも原因の1つです。
アルコールが胃を刺激しすぎて、胃酸が過剰に出てしまうことがあります。
なかなかアルコールが抜けない場合は胃にずっと刺激があるので、大量のお酒や強いお酒を飲まないように気を付けましょう。
また、タバコも胃に刺激を与えるので、注意しましょう。
消化の悪い食べ物
消化の悪い食べ物は胃の中にずっと残っているため、胸焼けの原因になる場合があります。
お腹の調子が悪い時は、脂肪やたんぱく質の多い食事は避けた方が良いでしょう。
ダイエットや激しい運動
ダイエットや激しい運動でも、胃の粘膜や胃酸など、胃の中のバランスが壊れて胸焼けが
おこるという報告もあります。
妊娠
腹圧が上昇すると、胃の中のものが逆流する場合があり、それが胸焼けの原因となります。
妊娠もその1つです。
胎児の成長、胎盤・羊水の増量などによって腹圧が上昇します。
腹圧の上昇は、消化不良や胃のムカムカ感を起こします。
できるだけ、うどんやおかゆなど消化の良いものを食べましょう。
肥満
肥満も腹圧の上昇を起こします。
そのため、胃の中のものが逆流しやすく胸焼けも起こりやすくなります。
便秘
便秘も長く続くと腹圧の上昇を起こし、胸焼けを起こす場合があります。
油物や肉類などの消化しにくいものはできるだけ抑えましょう。
野菜などの食物繊維を積極的に摂取します。
野菜は生のものより、温野菜のほうが良いといわれています。
ヨーグルトなどの乳酸菌の入った食べ物や飲み物を摂取するのも良いですね。
食生活の改善に努めましょう。
あまりきついズボンやスカートなども腹圧を上昇させるので、避けましょう。
ストレス
過度のストレスは、胃のバランスをおかしくし胃酸の過剰な分泌を引き起こすとも
いわれています。
そのため胸焼けがおこります。
逆流性食道炎や胃食道逆流症
胸やけ以外に、口内炎や咳、喘息やのどの違和感などがある場合は、逆流性食道炎や胃食道逆流症の可能性を考えましょう。
どちらも胃液が食道に逆流する症状ですが、食道に炎症がおきているのが「逆流性食道炎」、炎症がおきていないのが「胃食道逆流症」です。
あくまで病気の一つのため、早めに医療機関の診察を受けましょう。
食道がんになる危険性もあります。
症状がなかなか治らない場合は内視鏡・胃カメラでの検査も必要となる場合もあります。
タイプ別にみる胸焼けの原因
胸焼けにはいろいろな種類、タイプがあります。
その種類やタイプごとにどのような原因が考えられるかを見ていきましょう。
朝におこる胸焼け
朝におこる胸焼けは、日頃の食生活が原因になっている場合が多いです。
そのため食生活を見直す必要があります。
特に夜遅くや寝る前の食事は控えるようにしましょう。
夜遅くや寝る前の食事を抑えても朝、胸焼けがおこる場合は夕食の取りすぎの可能性があるので夕食の分量を控えましょう。
また、夕食時には、油っぽい食事も控えるようにしましょう。
空腹なのにおこる胸焼け
通常、胸焼けは暴飲暴食などにより、胃の粘膜などに刺激が与えられて起きることが多いです。
ところが空腹なのに胸焼けがおこるということは、普段から胃酸過多になっている可能性があります。
普段から胃酸過多を引き起こす原因には、加齢による胃や食道付近の筋肉の衰えやこのほか、ピロリ菌などの細菌によるものが考えられます。
息苦しかったり、吐き気をともなう胸焼け
息苦しかったり、吐き気をともなう胸焼けは、暴飲暴食のほかにストレスなどが原因になっている可能性があります。
このような場合は通常の胸焼けよりきつい症状の場合があります。
できるだけ早く医療機関で検査を受け、胸焼けの症状に合う治療を受けましょう。
背中の痛みやゲップをともなう胸焼け
背中に痛みがあったり、ゲップがでたりする胸やけがある場合は、逆流性食道炎や胃食道逆流症になっている可能性があります。
食道に炎症が起こっている逆流性食道炎の場合は、背中に痛みを感じることがあります。
背中に痛みがなかったとしてもゲップなどの症状があれば、逆流性食道炎や胃食道逆流症の疑いがあります。
先ほども記載しましたが、逆流性食道炎や胃食道逆流症は、出来るだけ早く医療機関で検査を受け、適切な治療を受ける必要があります。
胸焼けの予防や対処方法
では胸焼けの原因を確認しましたので、今度はその予防や対処方法を確認しましょう。
胸焼けを起こしやすい食べ物や飲み物に気を付ける
食べ物や飲み物には、胸焼けを起こしやすいものがあります。
- 高脂肪なもの・・・例えばから揚げやてんぷら、とんかつなどの揚げ物などの揚げ物
- 炭水化物・・・ごはん、ぱん、もちなど
- 甘いもの・・・ケーキ、チョコレート、ココアなど
- 香辛料・・・こしょう、七味など
- アルコール
- たばこ
- 酸が多いもの・・・グレープフルーツなどの柑橘類
上記のものを、摂取してはいけないわけではありません。過度の摂取を控えましょう。
食事の量に気をつける
食事の量が多いと胃に負担がかかり、胸焼けの原因となります。
できれば、腹八分目ぐらいまでに抑えた方が良いでしょう。
唾液をよく出す
唾液は酸を中和する効果があるといわれています。
そのため唾液が多く胃に入ったほうが胸焼けを防ぐことができます。
食事の時によく噛んで食べたり、食後や普段からガムを噛んでいると、唾液が良く出て胃や食道の酸を中和してくれます。
食事の時によく噛むと、消化もよくなりますね。
食べた後はしばらく横にならない
お腹が満腹になると眠くなったり、横になったりしがちです。
胸焼けに関していうとそれが原因の1つになるので、控えたほうが良いでしょう。
食後は普段より胃酸が多くなります。
横になると、胃が食道より高い位置になるため、胃酸が逆流しやすくなります。
寝る4時間ぐらい前には食事を済ましておいた方が良いです。
夜に小腹が減ってもあまり食べないようにしましょう。
枕などで、上半身を高くして寝る
枕などで、上半身を高くするなど傾斜をつけて寝ることで胃酸や食べたものの逆流を防ぐことが出来ます。
- 高い枕を使う
- 高さが調整できるベッドを使う
- 高い枕と低い枕を組み合わせて段差を作る
などして上半身を高くしましょう。
胃を休める
会社の付き合いや忘年会シーズンなどでどうしても普段より食べ過ぎたり、飲みすぎたりすることもあるでしょう。
そんなときは、次の日に食事を抜いて胃を休めるのも手の1つです。
水分は冷水よりもぬるま湯などが良いです。スポーツ飲料でも良いですね。
食事を抜くのがきつい場合は、できるだけ消化の良いものを食べるようにしましょう。
姿勢に気をつける
デスクワークなどで前かがみの姿勢を取り続けたり、猫背になったりすると胃を圧迫しやすくなります。
普段から前かがみにならないよう、姿勢に気をつけましょう。
肥満の解消
肥満になると、内臓脂肪がつきそれが胃を圧迫する原因になります。
肥満にならないよう、日常生活に気を付けましょう。
肥満解消のためのダイエットや運動は問題ありませんが、そうでない場合のダイエットや激しい運動は胃の中のバランスが壊れて胸焼けがおこる原因にもなるので、あまり過度なものは控えましょう。
胸焼けの薬を使う
薬を使って、胸焼けを抑えるのも1つの方法です。
しかし通常の胃薬では逆効果になるため「H2ブロッカー」のものを選びます。
H2ブロッカーは、胃酸を抑える役割をするものです。
ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、ロキサチジン、シメチジンなどの成分がこれにあたります。
H2ブロッカーには、年齢制限や容量の規定があるものが多く、子供には使えない場合も多いです。
また、薬の多用もやめましょう。
薬はあくまで一時的に胃酸を抑える役割をするものです。
普段の生活で改善できるものは日常生活の改善によって胸焼けの予防や解消をおこないましょう。
胸焼けの原因と治し方まとめ
今回は、胸焼けになる原因とその予防や治し方をご紹介しました。
胸焼けと同じようなものに、胃もたれがあります。
胸焼けは主に胃酸の出すぎが原因でおこり、胃もたれは胃酸不足でおこります。
対処方法が異なるため、間違わないようにしましょう。
胸焼けに対処するためには、まず胸焼けの原因を知る必要があります。
それは次の9つです。
- 暴飲暴食
- 胃に刺激を与える食べものや飲み物
- ③消化の悪い食べ物
- ダイエットや激しい運動
- 妊娠
- 肥満
- 便秘
- ストレス
- 逆流性食道炎や胃食道逆流症
また、胸焼けにはいろいろな種類、タイプがあります。
その種類やタイプごとにどのような原因があるか知っておきましょう。
そのタイプとは次の4つです。
- 朝におこる胸焼け
- 空腹なのにおこる胸焼け
- 息苦しかったり、吐き気をともなう胸焼け
- 背中の痛みやげっぷをともなう胸焼け
上記の原因を気にしながら、胸焼けの予防や解消をおこないましょう。
具体的には次の9つの方法です。
- 胸焼けを起こしやすい食べ物や飲み物に気を付ける
- 食事の量に気をつける
- 唾液をよく出す
- 食べた後はしばらく横にならない
- 枕などで、上半身を高くして寝る
- 胃を休める
- 姿勢に気をつける
- 肥満の解消
- 胸焼けの薬を使う
普段の生活で改善できるものはまず、日常生活の改善によって胸焼けの予防や解消をおこないましょう。
その上で胸焼けの薬を使って胃酸を抑えます。
また、原因によっては胸焼けだけでなく、違う病気の可能性も考えられます。
心配な場合はできるだけ早く、医療機関の診察を受けるようにしてください。